シンポジウム「これからのフィルム上映」

デジタル化への以降で絶滅寸前のフィルム上映。デジタル上映時代のフィルム上映の意義とあり方を各分野の専門家たちが討論する。

 今年、映画界は上映方式がフィルムからデジタルへと代わる、100年に1度の変革期を迎えています。それに伴い、各地の映画館ではフィルム映写機が撤去されデジタル・プロジェクターへと置き換わりつつ、様々な問題が起きています。
 当シンポジウムではそれらの問題の中から、デジタル上映時代のフィルム上映の意義について考えたいと思います。映画が誕生して約110年が経ち、すでに失われてしまったフィルムも多数ありますが、残されたフィルムは文化遺産として保護され始めています。かなざわ映画の会は、世界各地にいる上映権利者を探し当て、許可を得て、そうしたフィルムと観客が出会う場を作ってきました。しかし、フィルム映写機がなくなれば、フィルムは観客と出会う場を失います。そういった現状を踏まえ、各地のアーカイヴやコレクターの元に残るフィルムでしか観ることのできない作品を今後どのように上映していくのか? という問題に迫ります。

パネリスト
・とちぎあきら(東京国立近代美術館フィルムセンター主任研究員・映画室長)
・柳下毅一郎(映画評論家/英米文学翻訳家)
・内藤篤(シネマヴェーラ渋谷館主/弁護士)
・小野寺生哉(かなざわ映画の会代表)

9月17日(月・祝)14:00 金沢都ホテル セミナーホール
入場無料
とちぎあきら
東京国立近代美術館フィルムセンター主任研究員。92年より95年まで映像専門誌「月刊イメージフォーラム」の編集長を務める。その後、フリーランスでの仕事を経て、2003年より現職。映画フィルムの収集・保管、保存・復元、貸与などアクセス対応に従事する。主な著書、翻訳書に『アモス・ギタイ—イスラエル/映像/ディアスポラ』(共著・共編)『ロバート・ロドリゲスのハリウッド頂上作戦』(翻訳)など。

柳下毅一郎
1963年大阪生まれ。東京大学工学部卒業。英米文学翻訳家/映画評論家。訳書にアラン・ムーア、エディ・キャンベル「フロム・ヘル」(みすず書房)、ジーン・ウルフ「ケルベロス第五の首」(国書刊行会)、J・G・バラード「人生の奇跡」(東京創元社)など。編書に「女優林由美香」(洋泉社)など。著書に「興行師たちの映画史」(青土社)など。近著に「新世紀読書大全」がある。

内藤篤
弁護士・シネマヴェーラ渋谷館主。日本映画全盛の1958年に生を受け、長い邦画の低迷期を同時代として歩む。日本で「制作法務」という新ジャンルを開拓し、『キルビル』『ロスト・イン・トランスレーション』『誰も知らない』『市川崑物語』などのスタッフクレジットに名を連ねる。2006年に名画座「シネマヴェーラ渋谷」をオープン。著書に『ハリウッドパワーゲーム』『走れ、エロス』など多数。

小野寺生哉
かなざわ映画の会代表。2006 年より金沢市で上映会や映画祭を主催。「鈴木則文特集/エンタテインメントの極意」「カナザワ映画祭2007」〜。