カナザワ映画祭2021
期待の新人監督

授賞結果発表

今年の「期待の新人監督」は応募作品83本の中から
11作品上映され、3作品に賞が贈られました。
おめでとうございます!

期待の新人監督賞
(グランプリ)

MELIA監督
『体験型ツアー』

MELIA監督のコメント

「えっと…あの…夢じゃないですか…?ほんっとのほんっとに夢じゃないですか…?」

期待の新人俳優賞

蒲生映与監督(主演)
『西園さんは今日も』

蒲生映与監督のコメント

「賞を頂いたんですが、自分としてはすごく意外性がありましたが、自分で俳優としてやりたいことっていうのを精一杯やりました。本当にありがとうございました。」

観客賞

松野友喜人監督
『全身犯罪者』

松野友喜人監督のコメント

「とても光栄です。初めて映画で賞を頂いたので、本当に嬉しいです。
皆さんのおかげです。本当にありがとうございます。」

審査員からのコメント

稲生平太郎さん稲生平太郎さん

「『体験型ツアー』をグランプリに選ばせていただきました。私はこの作品と『西園さんは今日も』が今回の上映作品のなかではレベルが一つ上だと思いました。(観客や関係者の)皆さんの感想とは、全然別だと思います。カナザワ映画祭は、別にどこにも書いてないけど、やはり暗黙のポリシーっていうものがあるわけで、「映画をどう自由に撮るか」ということです。去年のカナザワ映画祭で言及した、「みんな、なんで海に行ってボソボソ喋るのか」っていう問題もですね、そこに関わってくるわけです。映画っていうのは本当に自由なメディアです。自由なはずなのに、多くの人たちは、その自由を予め放棄してるっていう例が多いと思うんですよね。自由は場合によっては、逸脱でもあると思うんですけれども。やっぱりそこですよね。この上位2作に関しては、自分の語りたいことを、自分の語りたいように語るんだっていう強固な意志があって、他の作品は、そこは弱いんじゃないかということですね。そこが一番大きかったと思います。今回グランプリの『体験型ツアー』は、テーマ、モチーフはいかにも今の時流と関係あるようですが、そういう理由で私は推したわけではございません。そういうモチーフを選ばれるのは各映画作家の自由ですけれども、それを一体どんな風に語るかということですね。」

高橋洋さん高橋洋さん

「僕は今年はじめて期待の新人監督の審査員を担当しました。全作品見て、このまま劇場公開してもおかしくないような作品が何本も入っていて、「今年って特にレベル高いんですか?」て稲生平太郎さんや主宰者さんに聞いたら、「例年こんなもんだよ」と。改めて例年有力な新人監督を排出しているカナザワ映画祭のレベルの高さを実感しました。その中で審査会議がああだこうだと揉めていたわけですが、僕が映画としてワンランク上と推した2作品が『体験型ツアー』と『西園さんは今日も』です。この2本は格が違うな、と。先ほどこのまま劇場公開してもおかしくない作品がたくさん集まっていたと言いながら、劇場公開が難しい2本を挙げてしまいましたが、正直作り手として、ものを作る人間が原点に立たねばならないポジションから映画を作っているな、と本気で心打たれたのはこの2本です。どちらも「どうやって映画を語っていくのか」「映画はどのような形になるべきか」といったことを発見しながら作っている、という感覚が来ました。昔の映画監督の名前で言えば、例えば『体験型ツアー』を見ていて思い起こしたのはイタリアのパゾリーニ監督。そういう一から映画の作り方を発見していった監督は昔にもいて、そういう作品に触れているような緊張感がありました。『西園さんは今日も』もお芝居や台詞のあり方が、通常のドラマのお芝居じゃないところで発想されている。僕が思い出したのは、ブレヒトの戯曲とかストローブ=ユイレの映画とか。そういう作品まで遡ってキチンと考えて映画を作っていらっしゃるんじゃないかな、という感触があり、非常に感銘を受けました。そんな2本が拮抗する中で『体験型ツアー』がグランプリ、『西園さんは今日も』が俳優賞という形になりました。」

坪井篤史ん坪井篤史ん

「観客賞の『全身犯罪者』なんですけども、本当に楽しく見させていただきました。実は僕個人の今年の(「期待の新人監督」上映作品)ベストでもあります。変な言い方になってしまいますが、僕はシネマスコーレという興行の、映画館の人間なので「お客さんが入るか入らないか」という目で作品を見てしまいます。今回『全身犯罪者』は短編でしたが、次に長編を持ってきていただけるのであれば、副賞代わりではないですが、シネマスコーレの方で上映したいと思います。長編を一人で作るのは大変かもしれないですけど、そこは頑張っていただいて、完成させて欲しいと思います。そういう意味でもこの観客賞が弾みになればいいなと思います。『全身犯罪者』は次が見たいなと思わせる勢いとパワーがあり、また次に撮っていただけるならという意味を込めての観客賞でした。」