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今年は89作品の応募作の中から22作品が選ばれ上映されました。 その22作品の中から勝ち抜いた作品を発表します。
本当に授賞をされた方、おめでとうございます。今回、授賞をたまたまされなかったという方、お席にいらっしゃると思うんですけども。僕はですね、常に今、映画業界というのはですね、アマチュア、プロにかかわらず非常に厳しい状態だと思います。これでウキウキ浮かれながら生きていけるなんて人は1人もいない。こういう状況はですね、もう既に20年、30年続いている中で、あなたたちですね、授賞された方もそうですし、授賞されなかった方もそうですけど、非常に勇気がある。それはかけがえのないものだと思いますよ。芸術に対してですね、自分の時間と人生と、ある時には家族の生活まで叩き込んでですね、何がしかのことを成そうとするその精神に僕は本当に感動します。それで、今回89作品の中で、22作品残ったということを考えていただければ、この舞台に立って授賞していないということは、何事の瑕疵にもならない。完全に最後まで作って、それを公開する形っていうのは、人に観てもらう形にしたということだけでも、偉大なポテンシャルは持っていると思います。
また、今回授賞した作品もですね、それぞれ完全ではありません。あえてグランプリを獲った『ハングマンズノット』に関して言わせてもらえばですね、やはり後半の処理が非常に問題だったということがありますし、また『自由を手にするその日まで』に関してはですね、メインキャラクターの女性がイジメをされたことをリベンジするという話ですよね。問題になったのは何の点かと言いますと、メインキャラクターが最もその作品の中で、果たさなければならないことを、他者に委ねるというのはどうなんだろうと。そこは少し考えていただきたいんですね。やはり、とても困難だと思うんですよ、1人の女性がリベンジを行うというのは、到底考えてもあり得ないじゃないですか。でも、そこが売りになる。そこにもう一つ工夫をしてもらえれば、文句なしだった可能性は非常に高いです。
ですから、そのように完全な作品はないです。どこにもありませんので、こういうところはダメだったとか、ああいうところをもっとこうすればよかったという思いは皆さん持ってらっしゃると思いますけど、決してそれでですね、もうヤメタということを皆さん仰らないでいただきたいなというのは、僕や小野寺さん、田井さんたちの思いです。とりあえず、皆さん「期待の新人監督」に参加していただいて、本当にありがたいと思っています。僕も物をちょくちょく書いたりしてますけども、エネルギーをたくさんもらいました。ありがとうございました。
自分の映画館だけで年間2百本くらい上映してるんですけども、これだけたくさんの映画を一気に観るということはあまりなく、しかも先ほど言いましたように基本的には商売の人間ですので。こういう言い方は乱暴ですけど、素人さんが作った映画をいっぱい観なきゃいけないのか、参ったなというノリで来たんですが、正直皆さんの作品のクオリティの高さにはビックリしたんです。だから、本当にデジタルというものにも依ってるんでしょうけれども、本当に今やプロとアマチュアの境目は全然ないですね。全然ないし、これは僕も、僕と同じような劇場の友人や仲間をいっぱい知ってますけど、やっぱり僕らも何を選び、何を上映していくかっていうことについて、いかに自分たちがプロであるかということについて、皆一生懸命に考えてると思います。ほとんどは自主上映やってたんだけれども、いつの間にか映画館やるようになっちゃった連中なんです。
自主上映ではなく、映画館を運営していく、お客さんからお金を頂いて、営業していくっていうことについて、いつも考えてます。そこにプロとアマの境界が明瞭ではないです。明瞭ではないけど、我々はプロを目指していく、つまりお金を頂ける物って何なのだっていうことだと思います。お客さんのために作ってるってよく言いますね。カナザワ映画祭でも神と崇められてるであろう鈴木則文監督が本の中で書いてある一節が、大変好きなんです。それはつまり、お客さんっていうのは誰なのっていうことについて、書いてるんですよ。でも鈴木監督ですから、その文章全体はお客さんとは何者かなんていうような抽象的な文章ではないんです。
それはサラっと書いちゃってるんですよ。それは何かっていうと、自分の映画を、“命の次にお金が大事な人”に観てもらおうと書いてあるんです。つまり、お客さんに命の次に大事なものを置いてってもらえる映画を作るっていう決意ですよ。これはやっぱり凄いな、さすが鈴木監督だなと思いました。それがやっぱりプロですね。つまり観客のプロとは、じゃあ一体誰かというと、映画についてよく知ってるとか、色んな情報を持ってるとかそういう人じゃない。観客のプロは、今置いたお金の価値があったかどうかだけは必ず分かる人なんですね。だから、そういう人たちに向けて頑張って作ってください。応援しております。
カナザワ映画祭2017はこれが第一回で、11月まで毎月続いていきます。カナザワ映画祭自体は11年目なんですが、今年が一番大変な年になるんじゃないかと思います。運よく年末まで生き残ったら、来年も「期待の新人監督」をこの場所でやりたいなと思ってます。2011年から「期待の新人監督」をやって、過去最高の22作品上映というクオリティの高い年だったので、皆さん応募していただいて、ありがとうございました。
「期待の新人監督」受賞結果発表!
「期待の新人監督」
受賞結果発表!
今年は89作品の応募作の中から22作品が選ばれ上映されました。
その22作品の中から勝ち抜いた作品を発表します。
期待の新人監督賞
『ハングマンズノット』
出演俳優賞
『ハングマンズノット』安田ユウ
観客賞
『はりこみ』
のびしろ賞
『アマノジャク・思春期』
ぶんまわし賞
『FILAMENT』
次回を手にするその日まで賞
『自由を手にするその日まで』
総評
本当に授賞をされた方、おめでとうございます。今回、授賞をたまたまされなかったという方、お席にいらっしゃると思うんですけども。僕はですね、常に今、映画業界というのはですね、アマチュア、プロにかかわらず非常に厳しい状態だと思います。これでウキウキ浮かれながら生きていけるなんて人は1人もいない。こういう状況はですね、もう既に20年、30年続いている中で、あなたたちですね、授賞された方もそうですし、授賞されなかった方もそうですけど、非常に勇気がある。それはかけがえのないものだと思いますよ。芸術に対してですね、自分の時間と人生と、ある時には家族の生活まで叩き込んでですね、何がしかのことを成そうとするその精神に僕は本当に感動します。それで、今回89作品の中で、22作品残ったということを考えていただければ、この舞台に立って授賞していないということは、何事の瑕疵にもならない。完全に最後まで作って、それを公開する形っていうのは、人に観てもらう形にしたということだけでも、偉大なポテンシャルは持っていると思います。
また、今回授賞した作品もですね、それぞれ完全ではありません。あえてグランプリを獲った『ハングマンズノット』に関して言わせてもらえばですね、やはり後半の処理が非常に問題だったということがありますし、また『自由を手にするその日まで』に関してはですね、メインキャラクターの女性がイジメをされたことをリベンジするという話ですよね。問題になったのは何の点かと言いますと、メインキャラクターが最もその作品の中で、果たさなければならないことを、他者に委ねるというのはどうなんだろうと。そこは少し考えていただきたいんですね。やはり、とても困難だと思うんですよ、1人の女性がリベンジを行うというのは、到底考えてもあり得ないじゃないですか。でも、そこが売りになる。そこにもう一つ工夫をしてもらえれば、文句なしだった可能性は非常に高いです。
ですから、そのように完全な作品はないです。どこにもありませんので、こういうところはダメだったとか、ああいうところをもっとこうすればよかったという思いは皆さん持ってらっしゃると思いますけど、決してそれでですね、もうヤメタということを皆さん仰らないでいただきたいなというのは、僕や小野寺さん、田井さんたちの思いです。とりあえず、皆さん「期待の新人監督」に参加していただいて、本当にありがたいと思っています。僕も物をちょくちょく書いたりしてますけども、エネルギーをたくさんもらいました。ありがとうございました。
自分の映画館だけで年間2百本くらい上映してるんですけども、これだけたくさんの映画を一気に観るということはあまりなく、しかも先ほど言いましたように基本的には商売の人間ですので。こういう言い方は乱暴ですけど、素人さんが作った映画をいっぱい観なきゃいけないのか、参ったなというノリで来たんですが、正直皆さんの作品のクオリティの高さにはビックリしたんです。だから、本当にデジタルというものにも依ってるんでしょうけれども、本当に今やプロとアマチュアの境目は全然ないですね。全然ないし、これは僕も、僕と同じような劇場の友人や仲間をいっぱい知ってますけど、やっぱり僕らも何を選び、何を上映していくかっていうことについて、いかに自分たちがプロであるかということについて、皆一生懸命に考えてると思います。ほとんどは自主上映やってたんだけれども、いつの間にか映画館やるようになっちゃった連中なんです。
自主上映ではなく、映画館を運営していく、お客さんからお金を頂いて、営業していくっていうことについて、いつも考えてます。そこにプロとアマの境界が明瞭ではないです。明瞭ではないけど、我々はプロを目指していく、つまりお金を頂ける物って何なのだっていうことだと思います。お客さんのために作ってるってよく言いますね。カナザワ映画祭でも神と崇められてるであろう鈴木則文監督が本の中で書いてある一節が、大変好きなんです。それはつまり、お客さんっていうのは誰なのっていうことについて、書いてるんですよ。でも鈴木監督ですから、その文章全体はお客さんとは何者かなんていうような抽象的な文章ではないんです。
それはサラっと書いちゃってるんですよ。それは何かっていうと、自分の映画を、“命の次にお金が大事な人”に観てもらおうと書いてあるんです。つまり、お客さんに命の次に大事なものを置いてってもらえる映画を作るっていう決意ですよ。これはやっぱり凄いな、さすが鈴木監督だなと思いました。それがやっぱりプロですね。つまり観客のプロとは、じゃあ一体誰かというと、映画についてよく知ってるとか、色んな情報を持ってるとかそういう人じゃない。観客のプロは、今置いたお金の価値があったかどうかだけは必ず分かる人なんですね。だから、そういう人たちに向けて頑張って作ってください。応援しております。
カナザワ映画祭2017はこれが第一回で、11月まで毎月続いていきます。カナザワ映画祭自体は11年目なんですが、今年が一番大変な年になるんじゃないかと思います。運よく年末まで生き残ったら、来年も「期待の新人監督」をこの場所でやりたいなと思ってます。2011年から「期待の新人監督」をやって、過去最高の22作品上映というクオリティの高い年だったので、皆さん応募していただいて、ありがとうございました。