イントロダクション

観客諸子に寄す

―カナザワ映画祭2009開催に際して―

2008年9月に開催した「カナザワ映画祭2008フィルマゲドン」では、社会問題や世の中の不条理、不正といった、ある意味ネガティブな題材の作品を多数選定し上映した。あの頃はまだ表面的には世の中の状況が今ほどはひどくはなく、根拠のない楽観的な気分もある時期であった。そのため、「今は浮かれているが世の中には知られていない様々なひどいことがたくさんあるのだ」と知らしめる目的で作品選定を行った。だが、映画祭が予言したのか、開幕した9月13日(土)に金沢近郊の町で通り魔による大量殺傷事件が発生、犯人の男は映画祭スタッフのご近所さんだった。さらに映画祭の盛り上がりがピークを迎えた15日(月)にはリーマンショックが勃発。世界は大不況の奈落へと落ちていったのだった。この不況は2009年7月現在もよくなる兆しもないままである。このような世相ではひたすらポジティブな映画を選定し上映する他はないと決意した。したがって、今年は「カナザワ映画祭2009新世界秩序サバイバルガイド」と銘打ち混迷する時代を生き延びるヒントが詰まった作品や、強い意志で新しい時代を作り上げるポジティブな決意に溢れた作品を、それぞれの作品同士が対立する思想や主義であっても一切関知せず、SF、 伝記、宗教、ドキュメンタリー、アニメーションなどジャンルも問わず多数集めて上映する。各作品の主義主張自体にこの映画祭は賛同も否定もしない。が、これらの作品から溢れている硬い肯定的な決意だけは間違いなく本物である。かのインド独立の父である非暴力主義者ガンジーはこう語った「あなたの夢は何か、あなたの目的とするものは何か、それさえしっかり持っているならば、必ずや道は開かれるだろう」と。この映画祭が参加者になにかを残し少しでも世界が変わるきっかけとなるならばこれ以上の喜びはない。

2009年7月

協力者一覧

■主催:かなざわ映画の会
■共催:金沢21世紀美術館[(財)金沢芸術創造財団]
■協力:金沢中心街まちづくり協議会、金沢フィルムコミッションシネモンド創ル部
■音響協力:boid吉祥寺バウスシアター
■字幕翻訳制作:木村愛、小出千鶴、原悠子
■デザイン:河村康輔(ZAIDE)
■フィルム・写真提供:アグン、角川映画幸福の科学コミュニティシネマセンターシナノ企画スピリチュアル・ムービーズゼネラル・エンタテインメント東映東宝パラマウント・ピクチャーズワーナーブラザース映画Cohesion Productions、G.M.P.、Jane Balfour Services Ltd.、Planet Plus One
■後援:石川県興行生活衛生同業組合
■支援:独立行政法人日本芸術文化振興会金沢市

■協賛:片町商店街振興組合、金森千榮子、KOHRINBO109、四位例内科クリニック、 株式会社フィックス株式会社福光屋北陸製版株式会社株式会社まつやマルヨネ株式会社ルバンシュ