石井聰亙特集

石井聰亙の爆走する初期衝動!

映画業界が斜陽であった時代、誰の弟子になる事なく、いきなり監督デビューを果たし、彗星のごとく現れた石井聰亙監督。インディーズ映画の最高峰に輝く『狂い咲きサンダーロード』は今なお多くのファンを生み続ける伝説的作品。また緒方明(『独立少年合唱団』)、阪本順治(『亡国のイージス』)、松岡錠司(『東京タワー』)など日本映画界を背負って立つ監督たちがスタッフとして関わり、引き寄せられた『爆裂都市』には若さと情熱がスクリーンに焼きついている。それが25年の時を経てニュープリントでスクリーンに蘇る!石井聰亙監督と『狂い咲きサンダーロード』で主人公ジンを演じた山田辰夫氏とのトークショウでは、映画を作りはじめた時の情熱、現在の情熱を語っていただく。熱狂的なファンはもちろん、リアルタイムで体感していない若い世代にも刺激になるはず!

上映作品

『高校大パニック』

高校大パニック1976年/カラー/17分
脚本:石井聰亙 出演:梅津正信/中村ジョー/テアトルハカタほか

石井聰亙監督が大学在学中に製作した衝撃のデビュー作! 加熱する受験戦争と管理教育に抑圧された高校生が、猟銃を手に学校を襲撃する。 思春期の鋭い感覚、触れたら切れそうな危うさが30年前の時を超えて、現在を生きる若者の心と共鳴する。

『突撃!博多愚連隊』

突撃!博多愚連隊1978年/カラー/1時間15分
脚本:石井聰亙 撮影:伊藤敏朗 出演:志水正義/清末裕之/泉谷しげる

偶然、一丁の拳銃を手にした1人のチンピラ。彼はやがて無数の暴力団員と警官隊を敵に回し仲間と共に無謀な戦いを挑むのだった…。 石井監督の特徴である「走る」映画の原点。撮影時、あまりのリアルさに警察が出動したという伝説の作品。

『1/880000の孤独』

1/880000の孤独1977年/カラー/43分
脚本:石井聰亙 撮影:井上敏夫/伊藤洋介 出演:入戸野誠/山崎いずみ

東京の片隅で予備校に通う浪人生。大学受験までのカウントダウンは始まっているが、未来はまったく見えない。浪人生の苦悩、煩悩、孤独が人間臭くて、可笑しく切ない。地方から上京して来た浪人生の実態をリアルに描いた作品。

『シャッフル』

シャッフル1981年/モノクロ/38分
脚本:石井聰亙  出演:中島陽典/森達也/室井滋/武田久美子/ 荒戸源次郎

大友克洋の短編漫画『RUN』の映画化。自分を裏切った女を殺したチンピラと、彼を追う刑事。何処へ向って走るのか…。全編にわたり、ひたすら全力疾走を続ける2人。爆音が主人公の鼓動と同化し、一緒に走っている感覚に陥る。まさしく体感する映画!

『狂い咲きサンダーロード』

狂い咲きサンダーロード1980年/カラー/1時間36分
脚本:石井聰亙/秋田光彦/平柳益実 撮影:笠松則通 出演:山田辰夫/中島陽典/南条弘二/小林稔侍

暴走族“魔墓呂死”の特攻隊長・ジンは、「市民に愛される暴走族」を目指す同輩や自分たちを取り込もうとする政治結社に反抗する。その末に待っているものは…。不器用だけど自分の生き方を貫くジンの姿。男達よ、カッコイイとはこういう事だ!

『爆裂都市 Burst City』

爆裂都市 Burst City1982年/カラー/1時間55分
脚本:石井聰亙/秋田光彦 出演:陣内孝則/大江慎也/町田康/コント赤信号/室井滋

無法と狂気が町に渦巻く近未来の日本。命がけのゼロヨン・レースに明け暮れる若者たちや奴隷のように強制労働させられる下層民たちが、ある事件をきっかけに一斉蜂起。そして街の狂気が一斉に爆発!エンドロール最後のシャウトは土曜日必聴!血が騒ぐ!

ゲスト

石井聰亙石井聰亙(映画監督)

日大芸術学部入学後の8mm映画デビュー作『高校大パニック』で熱狂的な支持を受け、『狂い咲きサンダーロード』、『爆裂都市』でジャパニーズ・ニューウェイブの急先鋒となる。常に斬新かつ前衛的な作品を発表し続け、独自の作品世界を追及している。

山田辰夫山田辰夫(俳優)

石井聰亙監督『狂い咲きサンダーロード』主演でスクリーンデビュー。この作品で日本アカデミー賞、報知映画祭、横浜映画祭の各新人賞を受賞。映画、テレビ、舞台と個性派俳優として多数出演作品がある。